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光市母子殺害事件 三つの問いかけ

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光市母子殺害事件

多くの問題を社会に投げかけた事件だった。

①少年の死刑基準

②被害者権利

③弁護士の倫理

 

①少年の死刑基準

この事件では、加害者が事件当時18歳一ヶ月だった。少年法では18歳に満たないものは死刑できない。20歳以下の少年には永山基準というものがあった。その基準によれば、4人を殺害した場合は死刑、2人では無期だった。今回の判決によって、その基準が変わった。より厳罰化したと思われる。

ある記者が本村さんに聞いた。

「今回の判決によって永山基準がなくなり、死刑へのハードルが低くなったことにどう思われるか?」

本村さんは答えた。

「そもそも死刑へのハードルという考え方がおかしい。個別の案件に対して判決を出した、ということ画期的なのです。」

僕も本村さんの考え方に賛成だ。

光市母子基準というこれまでより厳しい基準ができたのか、基準に沿った裁判ではなく事件ごとに判決を考えるという流れになったのか、どちらかは分からないが少年犯罪へ一石を投じたことは間違いない。

 

②被害者の権利

この事件まで、日本では被害者、遺族の権利というものはほとんどなかった。あくまで、刑事裁判は加害者の人権、加害者の刑を裁判所が考えるもので、そこに遺族や被害者の権利、人権という概念は存在しなかった。

しかし、この事件を契機に、本村さんの活動が世論を動かし犯罪被害者等基本法が成立した。そして遺族が優先的に裁判を傍聴する権利や遺族の意見陳述も認めれらるようになった。

一人の青年の想いが、社会を伝播し、政治を動かし、司法を変えた。本当にすごいことだ。ぼくは本村さんを尊敬する。

 

③弁護団の倫理が問われた。

具体的には、最高裁判所の弁論を欠席したり、一審二審で事実認定(殺意があったこと)していたものを覆して、差し戻し審で殺意に否定、荒唐無稽に思える主張(ドラえもん、死姦を生き返りの儀式)を展開した。これらが一般社会の倫理とかけ離れていることが世間を騒がせた。橋下弁護士が、弁護士の特権階級について疑問を投げかけ、懲戒請求することを求めた。だが、弁護士の特権階級については改善する見込みはない。(橋下が業務妨害として裁判で負けた) 実際には最高裁で勝っていました。  

裁判とは、被告人が自分の罪と向き合うチャンスでもある。この裁判を弁護団の死刑反対のポリシーのために利用したようにぼくは思う。弁護団の倫理が問われた。

 

本村さんの最後の会見の言葉が印象的だった。

「今回の判決も勝者なんていないと思うですよ。犯罪が起きた時点でみんな敗者なんだと思います」