一人で飛行機に乗ると、必ず自分が死ぬ事を想像してしまう。
着陸直前、機体が揺れる。周りの女性が軽く声を上げるくらいには揺れた。
一人ぼーとしながら、このまま事故が起きて死んだらどうなるんだろうなぁと考える。
まず、離れてはいるが一緒の旅行中の友人が日程をすべて変更して事の対応をするだろう。さすがに愚痴は言うまい。
それから学校に連絡がいって、助教や教授が驚くだろう。悲しむより先に僕の家族に連絡してくれるに違いない。
家族に連絡が言ったら、母親は感情的な人だから号泣して倒れるかもしれない、父親は驚いて何も言葉を発せないだろう。兄は冷静な人だから、家族のケアをしてくれるだろう。頼りがいがあるから。姉は泣くだろうな。
大学の友人にも連絡が行くだろう。メールかFacebookで。みんな驚くだろう。悲しんでてくれるやつはそこそこ居ると思うのだけど、実際どうだろうか。
昔の彼女とかはどうだろう。思い出してくれればいいな。
昔の友人は、俺が連絡がまめな人ではないから少し経ってから知るだろう。連絡網的なものは機能しているそうだから、なんとかなるにちがいない。
今死んだら少ないけれど人に泣かれるな。そんな事を考えていると少し怖くなる。
じゃあ、死ぬ前に何がしたい。後悔はないだろうか。思考を次に進める。
何がしたいか。。
必死で考えるが、なかなか思いつかない。
結構、自分のやりたい事をやってきている気がする。
旅とか趣味とかやりたいと思った事はやってきたと思う。
もっと派手に生きとけばよかった、と考えるが、一方で自分に素直に生きているとも思える。確かに真面目で平凡かもしれないが、自分の生き方はそんなに嫌いではない。
もう一度、機体が大きめに沈む。股間のあたりにひゅっと浮くような感覚になる。
このまま死んで良いのだろうか。
そう考えると嫌だと思う。まだ俺は何もしていないし、何も完成させていない。
昔、「僕と一緒」という漫画の主人公が、「俺がもし、巨人の4番で逆転満塁サヨナラホームランを打ったのなら、その場で死んでもいい」と言う場面があった。
その主人公の逆転満塁サヨナラホームランを打つにあたる、自分の夢と言うか成し得たい目標みたいなものが俺には見つからなかった。
内定している企業でやりたい仕事を考える。それが俺の死に値する目標か?いや答えはノーだ。
機体は着陸態勢に入る。ゆっくりだが高度を落として。エンジンがより大きな音を立てて、スペードを落とし始まる。
なんだろうか。俺のやりたい仕事は。俺の人生の目標はなんだ。必死で考える。
表現したい。もっと表現しておきたかった。そんな気持ちが突然沸き上がる。
目標ではないけれど、後悔みたいなものが沸き上がってきた。
もっと自分の考えた事や思った事を形にしてくればよかった、これから自分を表現してきたい。
機体は少し強めのショックを乗客に与えるが、無事着陸に成功する。
なんだかよく分からないけれど、一応の回答を得たという事で、これで良しとしよう。
そんなわけで、自分の考えた事なんかをちゃんとブログに載っけていこうと思います。