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もしドラを貶しまくったり褒めちぎったりした2つの秀逸なレビュー

もしドラという一時期流行ったコンテンツがあります。自分は本も映画も全く知りませんが、Amazonのレビューだけは読みました。その中でも、インクという方が書いた2つのレビューがあまりに秀逸なので、ここに引用させてもらいます。(今はそのレビューは削除されているようです。)

インクという人の凄いところは、始めは小気味良い貶し方をしますが、後者では同じ内容の事を皮肉たっぷりに褒めちぎる、というセンス抜群の文章力でしょう。

 
555 イラストに騙された名無しさん [sage] 2011/02/26(土) 19:36:52.29 id:NhEvkdlb Be:
  よくできたホラー小説, 2010/11/23
   By インク
   レビュー対象商品: もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら (単行本)
   このレビューはネタバレ要素を含んでいます。
  話題の本ということで読んでみたのですが、予想以上に凄いシロモノでした。
  主人公の川島みなみちゃんは重い病気で入院してしまった親友の代わりに野球部のマネージャーとなり、彼らを甲子園へ導くことを決意します。
   しかし野球はもちろんマネージャーについてもよく知らないみなみちゃんは、それについて学ぼうと思い立ち、本屋でドラッカーの『マネジメント』を購入しました。
   ここから彼女の人生は狂いはじめます。
   帰宅してマネジメントを読みはじめたみなみちゃんは本文に出てきた『真摯』の二文字を見て、突然泣き出します。
   あまりにも唐突な事態に読んでるこっちが泣きたくなります。
   なお、この時みなみちゃんがなぜ意味もわからなかった『真摯』という文字を見て号泣したのか、その理由が後に語られることはありません。
   そして翌日からみなみちゃんは何かにとりつかれたようにマネジメントを信奉しはじめます。
   問題が起きる→マネジメントを読む→解決!
   終盤まで延々とこんな流れが続きます。
   一般的な物語ならそう簡単に話が終わるはずなどなく、むしろさらなる困難が待ち構え、それにどう立ち向かうかが重要になってくるわけですが、そんなものドラッカーのマネジメントの前では無意味です。
   これさえ読んでいれば人生は全てうまくいく。週刊誌で宣伝している願いのかなう宝石のような効果がマネジメントにはあるのです。
   少なくとも、本書を読んで私はそういう印象を受けました。
   そんなに凄い本なのだから、みなみちゃんがより深くマネジメントにのめり込んでしまうのは必然でしょう。
   病状が悪化して今まさに死にかけている親友が文字通り必死に何かを伝えようとしているのに、その言葉をさえぎってマネジメントの朗読をはじめるみなみちゃんの姿は、カルトに洗脳された信者そのものです。
   そして甲子園出場をかけた決勝戦当日に親友は亡くなりました。
   どう考えても、みなみちゃんのせいです。 
 元マネージャーを失った悲しみを乗り越えて決勝戦に挑む野球部員たち。
   ちなみに今までろくに練習もしてこなかった彼らは、マネジメントのおかげで普通に練習するくらいには成長していましたが、その程度の彼らがどうやって決勝まで進むことができたのかは謎です。
   決勝戦の相手は当然、甲子園出場のために日夜凄まじい練習と実戦で鍛えてきた強豪です。
   結論から言えば、みなみちゃんの学校はその強豪校に勝利して甲子園への切符を手に入れるわけですが、勝利できた理由は「なぜか」です。
   なぜか相手がどんな球を投げてくるのか分かった。なぜか今日は調子がいいといった具合に、本文中ではやたら「なぜか」という言葉が繰り返され、選手たちは謎の覚醒をします。
   もはやマネジメントは関係ありません。
   それについさっき元マネージャーが亡くなったばかりなのに、今日はいつもより調子がいいというのはあんまりではないかと。
   それとも、元マネージャーという大切な存在を失ったことで選手たちは自分の中に眠っていた未知なる力に目覚めたのでしょうか。
   女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んでいる隙に、他の部員たちは久保帯人先生の『BLEACH』を読んでいたに違いありません。
   そして甲子園当日、野球部のキャプテンがインタビューを受けるところで物語は幕を閉じるのですが、
   比較的まともだと思っていた人物が実は誰よりも洗脳されていたことが判明する、ホラーとしてはかなり秀逸なラストが待っています。
あらすじだけでも十分おそろしいのに 「日本の企業は体育会系出身者が多いから運動部に所属していると企業に採用されやすい」 など、お前それドコ情報だよと問い詰めたくなるようなことを平気で言う登場人物や 散々指摘されている通り、適当な英文を適当な翻訳サイトで変換したような支離滅裂な日本語など、全てが不気味です。 オススメはできませんが、本当に怖い本です。 こんなものが出版されてしまったことに恐怖を覚えます。

 

557 イラストに騙された名無しさん [sage] 2011/02/26(土) 19:39:02.83 id:NhEvkdlb Be:
スリリングな海外小説, 2010/11/23
   By インク
   レビュー対象商品: もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら (単行本)
   残念なことにどれだけ優れた作品であろうと、その気になればいくらでも揚げ足とりは可能なわけで、人気商品には面白半分でレビューをする人が絶えません。
   この物語に感銘を受けた一人として、スペインの牛追い祭りの如く押し寄せてくる低評価レビューの数にさすがに黙っていられなくなったので、的はずれな指摘をいくつか論破していきたいと思います。
 まず物語の冒頭で主人公の川島みなみちゃんがマネジメントに書かれていた『真摯』という文字を見て突然泣き出した件について理解できないといった意見がありましたが、そういうことを言ってるのはきっと感受性の弱い方なんでしょうね。
   歌や絵画にふれて理由のない涙を流したことがないのでしょうか。
   歌と文字を一緒にするなと言われるかもしれませんが、幼いころ意味もわからなかった『湯豆腐』という文字を見て号泣した経験のある私には、みなみちゃんの気持ちがよくわかります。
   きっとみなみちゃんも、そんな感じで大泣きしたのでしょう。
また、物語の中盤で登場人物の一人が 「日本の企業は体育会系出身者が多いから運動部に所属していると企業に採用されやすい」 と語る場面で、それは一体どこの情報だと非難する声もありましたが、そもそもこれは完全な捏造です。 作中にそんなセリフはありません。 おそらくこの場面のことを指していると思うので、本文を一部引用します。 ──理由は、日本においては「体育会系」というキャリアが、ものすごく有利になることに気づいたからだそうだ。 日本の実業家には、なにしろ「体育会系」出身者が多かった。彼らの中には、学生時代の運動部での人間関係を、人脈作りの基盤としている者が多かった。 また、運動部出身の人間は、多くの場面で重宝されたり、肩書きとして重んじられたりした。 その最も顕著な例が、企業の採用だった。企業が人材を採用する際、運動部に所属していたという経歴は大きなアドバンテージになった── < 上記の文章から、一つの結論が導き出されます。 それはこの「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という物語は海外を舞台にしているということです。 私たちが生活しているここ以外にも、世界のどこかに日本という名前の国があるのです。 なぜなら、この国ではそこまで体育会系が権力を握ってはいないから。 これは別に不思議なことではありません。 千葉県から沖縄県まで、全国にはドイツ村と名の付いた場所がいくつもありますし、うちの近所にはパプアニューギニアという名前のお城みたいな外見の高級ホテルがあります。 だから世界のどこかに日本という名の体育会系に支配された修羅の国があってもおかしくはありません。 これでいくつもの疑問に答えが出ました。 重病に苦しむ親友をこき使って、カツオ節感覚で親友の寿命を削っていたみなみちゃんは鬼だと思われていましたが、体育会系社会ではしかたありません。 弱さは罪なのです。 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の世界では、マネジメントを予言書のように崇め、科学的に説明のつかない現象が多数確認されていましたが、 そういう文化の国なのだと思えば、納得できなくもありません。よその国の話なのですからね。 そんなことも理解できず、数々の奇跡をあざ笑い、この本をよくできたホラー小説だのと罵ったレビューもありましたが、いつの間にか何の説明もなく削除されていましたね。いい気味です。 文章についても稚拙だのチンパンジーにキーボードをさわらせたほうがマシだのと酷評だらけでしたが 私が読んだかぎりでは、字幕の女神こと戸田奈津子氏に翻訳されてしまった英文のような味わい深さを感じました。 以上のことからこの作品の良さは十分ご理解頂けたとは思いますが、改めて言えば、この本自体は読むに値しない資源ゴミにすぎません。 しかし世界は素晴らしい作品であふれています。 活発な女の子の話がお好みなら「赤毛のアン」を 自分を見つめなおして日常生活や仕事を前向きに改善したいなら「小さいことにくよくよするな」あたりをオススメします。 この二冊を買っても、もしドラより安上がりで、なおかつ得るものは何百倍も上なのだから、いい世の中になったものです。