失敗の本質
大東亜戦争の6つの作戦における「敗け方」を分析することで、日本軍の組織特性と失敗の本質を見出そうとする研究書。
なぜノモンハン事件で敗けたのか
・情報収集能力の不足
斥候不足から相手の兵力を知らず、相手の能力を軽視した。
・兵力の差
第1次世界大戦でソ連との直接対決を経験していない。そのため、近代戦争に必要な技術、生産力がそもそもソ連に対して足りてない。
・兵力の逐次投入
ランチェスターの第二法則(10対1を5回繰り返すか、10対5を1回か)
長期化による資材の消費。
・中央と現地のコミュニケーション不全
中央と現地の方針のずれ。
中央の方針;他の優先事項から、この案件は早期収拾。事態の拡大はNG。
現地の方針;関東の防御。そのための最適案がソ連の侵攻に対する即時の攻撃。
中央の意図を伝える文書(要綱、命令、指示)が、現地の感情・プライドを考慮して、明確な文章ではなく、自主的な実施を求める文章となる。その結果、現地では参考資料扱いとなり、中央の方針は無視された。
・組織の退化
関東軍は満州国の支配機関の役割を持っており、統治のための組織に適応、変化した。そのため、戦闘組織としては退化しつつあった。
顕著な例としてノモンハン事件において、対等ないしそれ以上の敵との戦いという全く新しい環境に置かれたとき、関東軍の首脳は混乱し、方向を見失ったことが挙げられる。
教訓
①情報収集能力の重要性
競合他社やエンドユーザの情報についてアンテナの感度を上げる必要がある。
②技術力の重要性
最先端の技術をキャッチアップしないとそもそも戦えない。
③正しい統率、マネジメント
感情を考慮しつつも明確な指示。
④組織の退化への危機感
組織は退化する。常にチャレンジ、向上、改善する必要がある。。囲碁で下手な相手とばかり手合わせすると腕が落ちる。簡単な案件、ぬるま湯に浸かっていると組織は退化する。