IOWN構想を調べたが横文字・知らない用語が多すぎて理解が大変だった。調べた用語とまとめておく。
IOWN構想
- IOWN: Innovative Optical and Wireless Network
- アイオンと発音・読む。
- 端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想のこと
- 目的:あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、
- 手段:光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供
- IOWNは次の3つの主要技術分野から構成される
- オールフォトニクス・ネットワーク(APN: All-Photonics Network)
- コグニティブ・ファウンデーション(CF: Cognitive Foundation®)
- デジタルツインコンピューティング(DTC: Digital Twin Computing)
オールフォトニクス・ネットワーク
- APN: All-Photonics Network
- ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入し、これにより現在のエレクトロニクス(電子)ベースの技術では困難な、圧倒的な低消費電力、高品質・大容量、低遅延の伝送を実現
光電融合素子
- チップ内の配線部分に光通信技術を導入
- 高速演算技術を組み込んだ、新しい光と電子が融合したチップを実現
コンピュータで演算を行うチップは従来、使い勝手の良い電子技術が活用されてきました。しかし、近年の高集積化に伴いチップ内の配線の発熱量の増加が、性能を制限しつつあります。そこで、チップ内の配線部分に光通信技術を導入し低消費電力化を行い、さらには光技術ならではの高速演算技術を組み込んだ、新しい光と電子が融合したチップを実現することを目標に掲げています。これが光電融合技術です。
コグニティブ・ファウンデーション
- CF: Cognitive Foundation®
- コグニティブは日本語で「認知」
- ファウンデーションは日本語で「基礎」
- クラウドからエッジコンピュータ、ネットワークサービス、ユーザー設備などレイヤの異なるICTリソースの配備・設定・連携、そして管理・運用を一元的に実施する仕組み
あらゆるICTリソースを全体最適に調和させて、必要な情報をネットワーク内に流通させる機能を担う
マルチオーケストレータが、クラウドやエッジをはじめ、ネットワーク、端末まで含めて様々なICTリソースを最適に制御することで、ニーズにこたえるオーバレイソリューションの迅速な提供を目指すもの
従来これらのICTリソースはサイロ化され個別に管理・運用されており、エッジコンピューティングやハイブリッドクラウドにおける高度な分散連携を実現する際の大きな障壁となっていました。Cognitive Foundationの活用により、マルチドメイン、マルチレイヤ、マルチサービス/ベンダ環境における迅速なICTリソースの配備とICTリソース構成の最適化を実現できます。
- コグニティブ・ファウンデーションの代表的な研究開発の取り組み
- 自己進化型サービスライフサイクルマネジメント
- 無線アクセスを最適化するCradio(クレイディオ)
マルチオーケストレータ
- 異なるレイヤのリソースを最適統合する主体
- マルチオーケストレータは、以下の3つの機能群で構成される
- オーケストレーション機能群: ワークフローエンジンとICTリソースごとに適したコマンドに変換するアダプタ群
- マネジメント機能群: 標準データモデルに基づく構成情報、設計情報などの管理機能群
- インテリジェント機能群: 設計・構築・試験から運用などのICTリソースを常に最適に保ち自律運用を可能とするAI機能群
オーバレイソリューション
- サービサーの要望に応じて、クラウドやデバイス、NWサービスといったICTリソースを迅速かつ最適に組み合わせて、エンド-エンドで利用できるようにしたもの
- サービサーとはサービスを提供する事業者
- オーバレイなので物理と仮想を分け、異なるレイヤのリソースを提供することを指していると思われる。
オーバーレイネットワーク/アンダーレイネットワーク
- オーバーレイネットワークとは、物理的なネットワークの上に構築された仮想的なネットワークを指し、下位層にあるネットワークをアンダーレイネットワーク
- オーバーレイネットワークの代表例として、インターネット上に仮想的な閉域ネットワークを構築するインターネットVPN
- ソフトウェアでネットワークを制御するSDN(Software Defined Networking)やSD-WANにおいても、オーバーレイネットワークの考え方が採り入れられています
デジタルツインコンピューティング
- DTC: Digital Twin Computing
- ネットワークから端末までフォトニクス(光)ベースの技術を導入したオールフォトニクス・ネットワーク、あらゆるICTリソースを最適に制御するコグニティブ・ファウンデーションをベースに、<新しいサービス、アプリケーションの世界>をめざした概念
- デジタルツインとは、モノやヒトをデジタル表現することによって、現実世界(リアル)のツイン(双子)をデジタル上に構築することを意味
- 従来のデジタルツインの枠組みは、例えば自動車やロボットなどに代表される実世界の個々の対象をサイバー空間上に写像し、それに対して分析・予測などを行うもの。個別のシミュレーション
- デジタルツインコンピューティングでは多様な産業やモノとヒトのデジタルツインを自在に掛け合わせて演算を行うことにより、都市におけるヒトと自動車など、これまで総合的に扱うことができなかった組合せを高精度に再現し、さらに未来の予測ができるようになる
- 実世界の物理的な再現を超えた、ヒトの内面をも含む相互作用をサイバー空間上で実現することを可能とする新たな計算パラダイムを目指す
- ヒトの意識や思考をデジタル表現する挑戦
- ヒトの外面だけでなく内面、例えば意識や思考を表現することによって、ヒトの行動やコミュニケーションなどの社会的側面についても高度な相互作用を行うことができる
- ヒトそれぞれの個性を表現することで、平均値として統計データ化された無個性な個体間の相互作用ではなく、個々人の特徴を踏まえた多様性に基づく相互作用が可能
- 多様なモノやヒトどうしが、実世界の制約を超えて高度な相互作用を行える仮想社会を創生できる
- ヒトの内面をデジタル表現する2つのアプローチ
デジタルツイン層
- OSIの7階層モデルのようにしたの下のレイヤを意識させない、共通層
- 実空間からさまざまにセンシングしたデータから生成されるデジタルツインや、デジタルツイン間の演算を通して生成される派生デジタルツインを保持
- これらの保持されたデジタルツインが、さまざまな仮想社会を構築するための基本的な構成要素になる
OTT
- OTT: Over The Top
- インターネット回線を通じて、メッセージや音声、動画コンテンツなどを提供する、通信事業者以外の企業
- FacebookやTwitter、LINEやYouTubeなどはOTTサービス
- OTTと対をなすと言われているのが「土管化」英語では、Dumb pipe(ダムパイプ)。
- OTTプレイヤーの出現によって通信事業者はそのサービスのパケットを文字通り土管のように消費者に流すだけの存在となりつつある。
データセントリックアーキテクチャ
- データ中心に考えるアーキテクチャ
- データセントリックネットワークという言葉もある。ICNといった技術で構成されることが予想される。
ICN
- ICN: Information-Centric Networking
- 現在のIPアドレスベースの通信に代わる次世代ネットワークとして研究開発が進められる
- 「情報(コンテンツ)」を識別子として通信する技術で、近年の動画や音楽など情報の配信・流通システムへとインターネットが変化してきており、こうしたインターネットの利用形態に適したネットワーク技術
- IPアドレスのようなノードの識別子を必要とせず、コンテンツ名を指定することで、より近くのルーターからもコンテンツを取得できるようにしようというもの
- ICNではサーバではなくコンテンツ名でネットワーク機能が動作
- セキュリティ機能もサーバではなくデータそのものに組み込むことが考えられている
NFV
- NFV: Network Functions Virtualization
- NFVとは、ネットワーク機器の機能を汎用サーバの仮想化基盤上でソフトウェア(仮想マシン)として実装する方式
- NFVは「ネットワーク機器(アプライアンス製品)の機能をソフトウェアとして提供」しようという考え方
- NVFは、SDNを補完するような関係
- NFVは「サーバ仮想化技術」をネットワーク機器に応用した技術
- ルータ、スイッチ、ADC、Firewallなどの専用機器を、汎用サーバ上の仮想化基盤の仮想マシンとして動作させることで、専用機器を代替
- NFVの導入により物理的な機器の集約を行えることから設備や運用コストを低減させることができる
SDN
- SDN: Software Defined Network
- SDNとは単一のソフトウェアによりネットワーク機器を集中的に制御して、ネットワーク構成や設定などを柔軟に動的に変更することができる「技術の総称」のこと
- SDNでは管理ツールでの事前に設定するだけで、ネットワーク構成、性能、機能を動的に変更できる
- 従来の物理的なネットワークは、サーバやネットワーク機器の追加やネットワーク構成を変更する際に、ケーブルの抜き差しの物理作業やルータ、スイッチ、Firewallなどを1つ1つ変更する必要があった
- SDNでは、機器の「データ転送機能と制御機能」を分離して、制御機能をSDNコントローラと呼ばれるソフトウェアにより一か所の集中管理することで、物理的な変更をすることなく、どの機器にどのような動作をさせるのか柔軟に設定することができる
参照
https://www.nttcom.co.jp/news/pr18121001.html
https://www.soumu.go.jp/main_content/000603642.pdf
次世代のインフラ設計アーキテクチャを発表--ピュア・ストレージ - ZDNet Japan
https://www.soumu.go.jp/main_content/000496762.pdf
https://www.ntt.com/bizon/glossary/j-a/overlay-underlay.html
その他 面白かった系
また、ネットワーク機能のソフトウェア化に伴い、クラウドを始めとする IT(Information Technology) で 用 い ら れ て い た 技 術 が 、 CT(Communication Technology)でも用いられるようになってきている。具体的には、クラウド上に ソフトウェアで実装したネットワーク機能と電気通信事業者が提供するネット ワーク設備を組み合わせて一体的にサービスを提供するなど、ネットワークリ ソースの管理の一部を電気通信事業者以外のサービス提供事業者が担うような 形態が出現してきている。 このように、ネットワークインフラは、電気通信事業者が自社設備だけで運用 するという時代から、クラウドサービス等の他社のインフラや API 等の機能を組 み合わせて運用するという時代にシフトしつつある。 そのような流れの中で、ネットワークインフラ全体として見れば、ネットワー ク機能のうちソフトウェアが担う機能の割合が大きくなっていくことが想定さ れる。しかしながら、そのような場合であっても通信速度の高速化、安全・信頼 性の向上等のハードウェアが担う役割の重要性に変化はない。 将来のネットワークインフラは、主にハードウェアの領域で解決を図る「ネッ トワークの高速化」と、ソフトウェアの領域やネットワーク構造の変化によって 解決を図る「ネットワーク制御の高度化」という方向でそれぞれ進化していくこ とが想定される。